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ウエートをしめる歩合制

  日本の卸商がこのスコット雑誌社を訪ねたのは初めてのことで、私達は簡単に自己紹介をした。アメリカの1つの州にも満たないほどの日本では47都道府県を言ってみてもはじまらず、各社の市場については橋本氏は主に East Side、一瀬氏、福井氏と私は West Sideと言わざるを得なかった。
  まず私は、アメリカにおける卸商、二次店の存在などいわゆる流通形態の実情を質問してみた。日本では普通、M(メーカー)→W(卸商)→D(小売店)→U(需要家)というのが現在の形態であるが、ここアメリカでは卸商と小売店が同一化していてM→W・D→Uという形態がほとんどであるという。ニューヨークでの実地見聞も考え合わせれば納得できる。在庫の量は卸商で、販売の仕方は小売商という形である。しかし、すべてがそうではなく、一次店をしのぐ在庫量、販売量を確保している水回り専門の二次店もイリノイ州にはあるといわれる。その店の広告には"24時間以内に配達!""わが国最大の販売店の栄誉に輝く!"と2ページにわたり大きく書かれてあった。
  またREPの存在もアメリカの流通機能には欠かせない。MとWの間、WとDの間に位置していて、メーカーから、あるいは卸商から何%かの歩合をもらっている。こうしたREPの生まれてきた土壌は、アメリカ特有のものであろう。今も歩合制の営業を敷く問屋もあり、メーカーの営業に至っては、かなりのウエートを占めているようだ。
  ここ Wholesalersの資料を見る限りでは、日本における「管材」という便利な言葉は見つからない。アトランタでのASAショーにしても、PHCP(Plumbing-Heating-Cooling-Piping)という展示会名で、あえてあげるならば PVF(Pipe-Valve-Fitting)というのが一番近いようである。

  橋本氏が数字的な面、つまり1人当たりの売上高の業種別比較などについて質問された。アメリカにおける管材業界の業種のとらえ方は、大きく2つに分類される。つまり、PlumbingとIndustry Supplyで、アメリカの卸商の実態はニューヨークの2つの卸商のように顕著に分かれているようだ。Wholesalersの昨年のバックナンバーには、さらに4つに分類されていた。(別表)
  ビトナー氏は、私達にも理解できるようにゆっくりと語りかけるように話される。編集長のメリー・アン譲は穏やかな方で、相槌も私達に対する質問も的確であった。ウィンクラー氏は若いせいか、自分の作った統計資料などバックナンバーを数冊持ってきて説明してくれて、自己アピールは相当なものであった。ビトナー氏をはじめ、日本の管材業界に対する興味は少なからず持っているようであったが、あいにく言葉のハンディキャップがありうまく表現できなかった。