フォルテッシモで奏し熱狂のうちに曲を結ぶか、アメリカにふさわしく雄大に律動的にタクトを振るか、それとも余韻を残しながら静かに終わるか、果たしてどうだろうか。 シカゴのオヘア空港で簡単な朝食をとる。出国手続きはなく国内線と同様である。時間を利用してショップをウロウロしてみる。福井氏、橋本氏、一瀬氏の3氏は、東京=大阪のJAL便が無事予約されたかどうか確認に行かれたので私は荷物番となった。Cokeでノドを潤していると間もなく3氏は戻られ、私達4人の金銭の精算がはじまった。円とドルの混合計算である。
シーズンオフで航空運賃が安くなった加減か、来る時と違ってジャンボの中は混み合っていた。まん中の4人掛けのシートに私達は仲良く座った。右から一瀬氏、橋本氏、福井氏、私という順で、一瀬氏と私が通路側にあたる。シアトルまでちょうど4時間のフライトである。帰りの機内には、私達4人の余裕が感じられた。
『何か得るものはないか』ということで日本を出発したが、どうだったのであろう。ニューヨークの卸商、雑誌社での懇談、アトランタのASAショー、KTMのキム氏の話、日立金属、TRW MISSION、住金の方々・・・。会った人達の顔、情景、声が頭の中によみがえる。今や日本での流通機能は複雑多岐きわまるが、一方では問屋無用論を聞かされてから久しい。アメリカを見た限り、私達の業界では、卸商・小売商のいわゆる中間業者は消滅しないと確言できる。しかし、その中間業者は、その立場で存在価値のあるように常に努力せねばならないし、仕入先、販売先に対して、今以上の情報を提供しなくてはいけないと思う。最近、卸売業界が上下の板バサミに遭遇し、圧迫され窮屈な感じがする。
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もう少し伸び伸びと商売ができてもいいのではなかろうか。今、中間的立場に存在する私達こそが、勉強しなくてはいけない時かもしれない。 ジャンボはロッキー上空を飛ぶ。機内食が運ばれてきた。フィレミニヨンとチキングラタンの選択であった。横を見ると、橋本氏と一瀬氏はチキンのほうである。スチュワーデスのサービス・テリトリーが福井氏と橋本氏の間で分かれている。食べ物の好みか、それとも彼女らの器量の差か。 シアトルでの待ち時間は十分にあったが、ロス・シスコからの日本人観光客と合流したときには驚いた。見る間に免税店が満員御礼になったのである。40坪足らずの店が所狭しと日本人客でひしめき合っている。洋酒、タバコが飛ぶように売れていくのである。まさに百貨店の特売場以上のすさまじさする。経営者の自分としては、このような店が経営できれば最高であると羨ましい限りだ。
意味あるスタディツアー
UA143便の出発ゲートをくぐる。次に着陸するときは明日の4時40分成田である。ジャンボのキャビン入口のスチュワーデスと私の目が合った。"Oh!"10日前に成田からシアトルまで私達を世話してくれたスチュワーデスであった。彼女はテネシー生まれアトランタ育ちでアメリカ美人である。あいにく今回のフライトでは、ファーストクラスの係で、彼女が私のところに来て話をしたのは一度きりであった。まことに残念!
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