うっすらと白色に染まるシアトルの山の手を後にして、ジャンボは東京国際空港成田へと飛び上がった。
「さようなら、アメリカ」
"GOOD BY! U.S.A."
おお ビューティフル!
果てしなき空の下
琥珀色の穀物畑の波が続くよ
実り豊かな大平原の彼方
紫色の山なみがそびえているよ
アメリカ! アメリカ!
神の恩寵 汝の上にあり
Oh!Beautiful America!
このツアーでの出来事、体験したことが脳裏をかけめぐる。連想ゲームのように情景が浮かび、次々とひとコマひとコマ画面が変わっていく。ひとつのシーンが永く写っている時もある。そのシーンと現実の視野とがラップして、この旅行と無関係のまた別のことを考えていたりする。
機内のスクリーンでは、"Shoe Dance"というアメリカ映画をやっている。都会で育った青年が保守的な田舎町の高校に転校して来てから、次々と若者達の旋風が町中に起きる。やがて石頭の牧師もわが娘の反発を契機に軟化し、大人達、子供達が一緒になってダンスを踊りながら幕を閉じる。現代のアメリカを風刺した映画である。
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今の私達4人は、ともに先代(会長、社長)が健在である。世襲の経営者にとっては、世代交代はたいへん重要なことで、対外的にも社内においても、また実務面でも、旋風や反発のなきよう立派に努力せねばならない。現在の日本に、初代のわが祖父が生きていたならば、どのように対応しているだろうか。一世代前の私達、管工機材業界ではこのようなツアーを企画することすら考えなかったことである。ひょっとすれば、この「アメリカ・スタディ・ツアー」は先代、先々代への建設的な旋風、反発かもしれない。(完)
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