5.専門誌"THE WHOLESALERS" | 36 | ||||
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最後の訪問地シカゴへ
フランクリン・ルーズベルト・ドライブはラッシュアワーであった。大統領選挙のあと、国民が「さあー」といって動き出したのか、私達を乗せたタクシーはノロノロ運転である。運転手さんが私達の出発に時刻を気にしている。午後3時過ぎ、ホテルの前でタクシーに乗り、4時前にはラガーディア空港に着く予定であったが、今、4時を過ぎている。4人の落着かない様子は黙っていてもよく理解できる。「ホーッ」車が流れ出した。運転手さんは額の汗を拭った。N・Yに来た時はわずか40分だったのに、帰りはなんと1時間20分もかかってラガーディア空港に着いた。 |
福井氏は大阪の新御堂筋の感じによく似ていると言われる。街灯のあかりといい、本当に大阪のようである。周辺を含むと人口700万人以上という世界的な都市であるが、セント・ローレンス運河ができるまでは、自然に居着いた200人ほどの村落があるだけであった。しかし、1862年に自営農地法が制定されてからは急成長し「草原の中の最初の都市」と変貌するのである。アメリカではGreat Country(偉大な田舎)と呼ばれ、国際性や洗練された雰囲気に乏しいとされているが、鉄道王プルマンを生み、ギャングの王様アル・カポネを生んだ。車は都心に入ってきた。街並みは広く車の通りは少ない。N・Yのような雑踏は感じられない。やはり田舎である。
チェックインを簡単に済ませ、すぐ食事にすることにした。DKBのハマモト氏ご推薦の日本料理店に行くことは、すでに飛行機に乗る前から合意していた。福井氏は今日は別行動であったが、ぜひその店へ行きましょうと二つ返事で決まってしまったのである。その「やなせ」という店は、車で10分ほどのところにあった。私はシカゴの街並みを目で追っていた。シカゴ川には橋がいくつも架かっていて、川幅といい、大阪の中之島あたりを連想してしまった。 |