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  レストラン「富士」に来ている人のほとんどは日本人であった。週末の家庭サービスか、家族連れも多く見受けられた。ツチヤ氏によれば、ヒューストンではこの店が一番味もよく良心的だといわれる。今夜のディナーの牛肉のたたきと鍋焼きうどんは、アメリカに来ていることを全く忘れさせてくれた。しかし、小学校3、4年くらいの男の子をトイレで見かけたときは、ふと我れに返り、自分の家族のことを思い出してしまった。

スカッチ、バーボン、バーボン

  アンドウ氏、オダ氏の2人とはレストランの前で別れ、ツチヤ氏にはまたホテルまで同行していただき、THE PARKで一服することになった。夕方、一瀬氏と私にジュースを持ってきてくれたウエイトレスはおらず、別のウエイトレスを呼びウィスキーを注文した。「バーボン3つ、スコッチ1つ」というと、ウエイトレスは「スカッチ?」と不思議そうな顔をしながら念を押すように尋ねてきた。「イエス、ワン、スカッチ」。実のところ、私はバーボンウィスキーは苦手で、どちらかというと軽い感じのウィスキーを好むほうである。ここTHE PARKのウエイトレスの服は魅力的で、巻きスカートの変形だと思うが、大股で歩くとスリットの間から長い足がチラッとのぞく。
  「スカッチ、バーボン、バーボン」といいながらテーブルの上に置いてくれた。私の前にあるのは当然のことながら、癖のない「スカッチ」のはずであるが、口にするととてもしょっぱいバーボンである。

ハイアット・リーゼンシーホテルの喫茶室THE PARKで ウエイトレスのSUZYと共に・・・左から橋本氏、私、一瀬氏

すぐにウエイトレスを呼び返して、「塩っからいぞ、本当にスカッチか」というと「Oh!」といって取り換えに行ってくれた。どうも私ひとりだけスコッチを頼んだので、洒落たようである。
  ウエイトレスの名前はスージーといった。橋本氏が写真を撮りましょうと言って、私の隣りに彼女を座らせてくれた。その時、名札を見ると"SUZY"と書かれていた、ふつうは"SUSIE"ではないかと彼女に聞くと、SIEでもスージーと読めるが、自分はZYのほうであるという。陽気で快活な彼女である。ツチヤ氏もいつの間にかスージーのそばに来て、自分が勤める会社はこの近所であると言っている。おそらく、写真をほしいと彼女にねだられたのであろう。2杯目を飲むころには、すでに11時を過ぎていた。明日の朝も早いので、ツチヤ氏に礼を言って私達はおのおのの部屋へ帰っていった。