1.アメリカン・サプライ・ショー |
|
1 | |||
---|---|---|---|---|---|
動き出したツアー
胸のポケットに搭乗券を入れ、私たち3人は成田空港の北ウイングで待っていた。―――正面の免税店の前をキャリイを引きながら通り過ぎていく乗務員達。同じ色の服を着て同じ靴をはき、コートとバッグも同じようにそれぞれのキャリイに結びつけている。ただスカーフの巻き具合だけが違うところだ。―――私達が今から体験しようとしていることは、はたして意義があるのだろうか。単なる”後継者のわがまま”として片づけられるのかもしれない。 |
昨年の秋、このメンバーが集まったとき、飲んだ勢いで海外でも一緒に行くというスタディツアーを組んでみたらといったのがきっかけであったが、こんなに早く具体化するとは思ってもみなかった。 総合商社か専門商社
飛行機の旅は実に壮快である。雲や気流の関係で揺れなければ安定もよく字もかける。今、太平洋岸標準時、朝10時。いよいよアメリカ到着である。シアトルの街並みを目で追いながら着陸態勢に入る。私達の訪米を歓迎しているかのごとく大地の轟きが足の底から伝わってくる。西海岸の北の玄関口といわれるだけあって、案内板には日本語が併記されていた。わずか8時間足らずということもあり、「本当にアメリカに着いたのか」と自分の目を疑ってしまう。ここシアトルで入国手続きである。 |