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南北戦争ゆかりの地

  主催者側の用意したシャトルバスでダウンタウンヒルトンへ戻ってきた。夜の北沢バルブのレセプションまで時間があるので、”南北戦争ゆかりの街アトランタ”を見て回ることにした。ホテル前で待機しているタクシーにヒストリカル・ソサイエティー(Historical Society)と言っても、全く理解できないようだ。何でもいいから美術館へ行ってくれと言ってタクシーに乗った。
  確かに着いたところは美術館であったが、私達が目ざす南北戦争ゆかりの絵画などは見つからなかった。美術館のガードマンに”The Civil War”についての作品はないかと尋ねてみても不思議そうな顔をする。あげくに11月中旬からはじまる「中国美術展」のことと勘違いされてしまった。よく調べてみると、この美術館は、1962年のパリでの航空機事故で亡くなった122名のアトランタ美術愛好家たちを記念して建てられたもので、南北戦争とは全く関係がなかった。
  しかたなく美術館でタクシーを呼んでもらい、ヒストリカル・ソサイエティーへ行くことにした。地元では、スワン・ハウス(Swan House)と言ったほうが通じるそうである。とても愛想のいい運転手さんで、彼も生粋のアメリカ人ではなさそうで英語をゆっくりとしゃべる。午後5時前という時間が時間なので車を待たせておいてスワン・ハウスを回ることにした。ルネッサンス調の大邸宅がこんもりとした林の中に建っていて、カップルで散歩すると実に絵になるところである。

美術館の前にて・・・橋本氏と、左が私

福井氏は「いい所だ、いい所だ」と連発してしきりにシャッターを切っておられる。私達も福井氏に影響されてかカメラを持ってついウロウロ、雰囲気にゆったりひたることなくスワン・ハウスをあとにした。
  タクシーはみやげもの屋の前で止まったが、あいにくシャットアウト。運転手さんも気を遣ってか、他の名所を案内してくれたところはサイクロラマ館(Cyclerama)であった。グラント公園の中にあって、南北戦争の時のアトランタの戦闘が高さ15メートル幅123メートルにわたり、パノラマ風に描かれているという。もう6時前になっていたので当然閉まってはいたが、池があり林があり・・・のきれいなところであった。ただ、館内を見られなかったのは心残りであった。運転手さんに写真を撮ってもらった時には、すでに夕闇、北沢バルブのレセプションの時間が迫っていた。