■仕切り弁(ゲートバルブ)

  スリース(スルース)バルブ、制水弁と呼ばれることがありますが、最近ではゲートと言われることが多い。Gate という意味のごとく産業機器類のブロックが目的で、全閉または全開の状態で用いられます。部分開きの状態では、弁体の背後にうずが発生して圧力損失が生じ、弁体に振動が起きたり弁体やボデーの弁座に侵食が発生したり傷がつくことがあります。
  一般には、石油プラントなどで常時開放の状態にある精留塔や貯槽などの元弁(ファーストバルブ)には仕切り弁を用います。

  仕切り弁の長所
  ・ 流体抵抗が少なく高粘度流体に適する
  ・ 水撃作用を避けることができる
  ・ 面間距離が短く大口径弁として適する

  仕切り弁の短所
  ・ シート面の擦り合わせが難しく、全閉時にリークが発生する恐れがある
  ・ 開閉に際してシート面の摩擦が大きいのでシートの摩耗が比較的早い
  ・ 開閉のリフトが大きいので開閉に時間がかかる
  ・ 高温流体などに使用したりステンレス製シートの場合、摺動部(シート面接触部、
   弁棒と上部ヨークのメタル接触部)にカジリの危険性がある
  

  外ネジと内ネジ
  上の図のように、外ネジの場合は弁棒が上昇するので、弁の開閉は見ればわかります。取付ける時には、弁棒の上昇するスペースが必要です。内ネジの場合は弁棒の位置はそのままなので、開閉の状態がわからないため必要に応じて開度計(開閉指示板)をつけます。外ネジは、Rising Stem、内ネジは、Non-Rising Stem と言います

  弁体の構造
  最も重要な部分は、弁体とシートの接触の度合いです。弁体には右のように、くさび形(ウェッジ)と平行形があります。もっとも多く用いられているのがくさび形の一体形で、弁箱(本体)の変形に対して順応性があるのはフレキシブル形、分割形です。
  平行形のダブルディスク形は弁箱の変形に追従できます。パラレルスライド形は流体の圧力を利用してシートに密着させる構造なので、高温の流体に用いられますがシート面の材質には耐摩耗性に優れた材料を使用する必要があります。
  シート面の硬度差
  シート面のタイトな接触によって、流体を止めるために、弁体付きのシートと本体(弁箱)付きのシートの間に硬度の差をつけます。ブリネル硬さ 50以上の差をつけることが必要です。硬度差は、適切な熱処理を施すことによって可能となります。シート面の硬度差は玉形弁の場合も同様です。

 


【参考文献】配管の本  (1994 社団法人日本プラントメンテナンス協会発行)
ブリネル硬さ 定義:鋼球圧子又は超硬合金圧子を用い、試験面にくぼみを付けたとき、用いた試験荷重を球状の永久くぼみの表面積(mm2)で除した値(JIS Z 2243)。参考1.鋼球圧子を用いたときには、硬さ記号 HBS を、また超硬合金球圧子のときには、HBW を用いる。参考2.伸銅品(1201参照)のJISでは、JIS H 3250 のアルミニウム青銅(1153参照)に適用されている。対応英語:brinell hardness
【参考】ブリネル硬さ試験における試験力及び球圧子の選択→PDFファイル