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小沢が動くと政界が変わる (自民と民主の大連合シナリオ)

  1996年に出来た鳩山新党がやっと陽の目を見るようになった。小沢一郎率いる民主党が参議院第一党となり、与野党逆転となった。歴史的な一瞬ではないかと思う。かつて新進党を作った小沢一郎は、自由党を作り、民主党と一緒になっての長い道のりであった。鳩山はフリーメーソンに染まっているとか、小沢は欧州に行ってから感覚が変わったとか、言われたこともあった。
 世界から見れば、というより米国から見れば、どちらでも人脈があるようにしておくのが順当な日本攻略法であろうと思われる。全く知らない人物が、首相にでもなると、一からのお付き合いとなって、右往左往することもあるからだ。鈴木善幸氏が故大平首相の後任に収まったとき、米ホワイトハウスでは「スズキって誰?」という訝りと不安が走ったそうだ。鈴木氏はそれまで外向きの役職には一切就いていなかったからだ。
 小沢が自民党を出て新進党を作ったとき、鳩山が党を作ったときは、両氏とも欧米へ行き、発足の資金調達など条件整備を行なっている。それから10年以上の時が流れ、自民党をぶっ潰す小泉の公約どおりに、いろんなアラが表面に湧出してきた。これぞチャンスとばかり、民主党は追い風を吹かせ、また結果的に、別の追い風を持ってきて吹かせる手法は見事なものであった。
 これで社民党の存在は無くなってしまうだろうし、大きい集団に呑まれてしまうことになろう。本当に近い将来、共産党だけが全く別という政界編成になった時、自民党と民主党の大連合が結成され、憲法改正が行われることの見通しがついた。その後、もう一回か二回、政界全体が再編成、再々編成が行われ、二大政党の形に収まるように思う。
 世界から見れば、日本の国益を考える強烈なリーダーの首相は出て欲しくないのが本音で、群雄割拠のようにミニリーダーがたくさんいるほうが欧米にとって都合がよいのだ。日本を中心に考え行動する優秀なリーダーが出現することを恐がっていることは確かである。傀儡とまではいかないまでも、欧米の言うとおりに動く僕(しもべ)的首相を願っているのだ。そう考えてくると力が無くなり、分散してしまった社会党などは、貴重な存在であったようにも思う。
 この自民と民主の大連合構想は、かつて小沢一郎が動く前からあったことで、日本の政治を表向き民主的に二大政党に持っていくには、どうするか、としたときに、若手リーダーの小沢と鳩山に白羽の矢が立ったのだ。鳩山は兄弟で、自民、民主に分かれているのもおかしな話である。誰かが書いたシナリオに添って、安倍が動き、小沢が動いていたら、それは非常に恐ろしい話ですね。
 世界から見れば、A党でもB党でも同じで、配役が変わっただけのことなのです。方針や施策も根本的には変わらない。一般国民は政界という舞台での演技を見ている傍観者にすぎず、役者に指示している監督は、誰か知るよしもない。ただ監督は、選挙でどんな事態になっても舞台ができるように、与野党問わずたくさんの役者を抱えておきたいと思っているのだ。
 その一人に抜擢されたのが、小沢であり鳩山なのだ。小泉も安倍もその一人であったのかも知れない。(2007.8.1)