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日本の潮流は如何に

  国勢調査が今年の秋に実施されるが、日本の人口が1億2607万人と発表された。3月末の住民台帳調査による数字である。増加率は0.17%で最も低い水準である。
  日本は今、高齢化社会とか少子化政策などと言われている。大学や高校などが少子化に備え、経営存続に躍起となっている。それも当たり前のことで、10年前の生徒数の約6割に減少している。廃校や統合などがこれから余儀なくされる。
  一方、高齢化社会に備えて、特別養護老人ホームや介護保険の導入など、うまくシルバー社会になるように国の指導も拍車がかかっているが、それは言葉のすり替えであって、10年後、一世代の後には、日本の人口が減少するということにほかならない。
  日本有史上、我が国は人口が増えつづけてきた。戦争、戦さによっての一時的な減少はあっても、人口は増えるという社会で生きてきた。厚生年金も国債も人口ピラミッドが正常であったから、機能するシステムであった。そのピラミッドが崩れてくれば、うまく機能しなくなる懸念が生まれてくる。
  今までのように次世代の人口が、現在より増えることが確実であれば、年金も国債の運営もうまくいく仕組みになっているが、人口が減少するとなれば、全く異なる土俵で考え直さねばならない。日本丸は、まさに曲がり角に来ている。
  国債の累積額、地方財政の借金額は増え続け、米国債の償還は期待出来ずまさに窮地に追い込まれた日本である。人口が増えるならば何とかなると予想されるが、人口は減ることが確実、国債や借金、年金を次の世代では負担が大きすぎて償還能力以上だと思われる。ブルーカラーを外国人などで補うにしても、文化が異なる人たちとの融和はできるでしょうか?器用さ緻密さなどの技能において、勤勉性や責任感も違うし、信頼関係においても、日本人同士というわけにはいかず、管理面や防犯面でと、問題は尽きないと思われる。
  円高になった現在でも、日本の工業製品は海外で、特にアメリカ合衆国では規制され関税を上乗せされる始末。反面、輸入規制は緩和どころか撤廃せよと外圧がかかる。敗戦国の日本だからしようがないと言えばそれまでだが、日本の政治家は、その辺のところは、よく判っているのでしょうか?海外にいい顔をした首相は、もてはやされ、海外にイヤミを言った首相は、引きずり下ろされる。蔵相も本当のことを言うと、袋叩きに遭う始末。実に日本丸は座礁寸前、転覆寸前である。
  「こじんまり」とした国家を形成し大人しくするというのを期待するのではない。国政を与かる方々は当然ではあるが、もう少し将来を見据えて、地についた日本人でありたいと思う。経営を担う私達こそがしっかりせねばならないと痛感する。拡大するときのビジネスチャンスは誰にでも理解できるが、縮小するときにもビジネスチャンスはありえるのだ。安易に労働市場を外人ワーカーに頼らないで、私達の力で出来ないものでしょうか?
  さあー、世の中の考え方の根本を覆すことです。まさに「人口が減少する」ことを、大前提にものごとを捉えていけば、解決の糸口は見つかるのではないでしょうか?(2000.8.5)