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鳩山新党に思う (世界から見た日本の政治は)

  友愛の精神をもった鳩山新党がかつての社会党の衆議院議員全員をも巻き込んでの勢いであるが、どうも主義主張がハッキリしない。自民、新進に次ぐ第三党になることは確かである。
 武村の新党結成の時の純粋な思いは、政権与党となって3年もたてば崩れてきているように思う。「さきがけ」を結党した時のはつらつさはなくなり、顔つきもどことなく冴えない。大蔵大臣の終盤から武村さんらしくなくなった。恐らく世界の面々と会談し、裏方をかいま見る機会があったからでしょう。純粋の日本人では、精神的に耐えられなかったのかもしれない。(ここでの純粋は、国を愛するという意。)となると、非自民で作った時、武村は連立の中にいた。内閣官房長官という重責のポストにいた。が、しばらくすると細川首相との溝は、マスコミが騒ぐところとなった。出足は良いが慣れ親しむとだめだ。素直に受ければ「武村はどうもそのへんは、大人になれず下手である」ということになる。
 武村、細川、横路の知事出身者は、既にそれなりのビジョンをもっていて国政レベルでも、手腕は発揮されるのは間違いがない。しかし、細川=武村がうまくいかなかったのはなぜか?武村が窮地に追い込まれ、誰かが仕掛けたトラップにはまり込んだのか?そして党首をなぜ明け渡したのか?鳩山があれだけ武村はずしで新党結成をすることにこだわったのは、なぜか?武村が実力なしというレッテルを貼られているのなら、致し方ないが、どうも、そんな気がしない。
 鳩山の民主党が結成され、自民、新進という保守系の衆参議員でほとんど占めるようになると、つまり共産党だけが全く別という政界編成になった時、もう一回か二回、政界全体が再編成、再々編成が行われるように思う。世界から見れば、今のところ(小選挙区導入により)共産系になる要素は全くなくなったし、共産党の施策、方針は一般向けはしない。だから非共産系はどこのグループが政権を取ろうが、体勢には影響がなくあまり関係はない。ただし、田中角栄のような、強烈に日本国の利を考える首相は出て欲しくないのが、本音でしょう。日本のリーダーは欧米にとって都合のよいリーダーでないといけないのです。日本を中心に考え行動するリーダーが出現することを恐れているのです。今の橋本さんのような、シャープな切れ味の首相は欧米受けはしないのです。
 総選挙後、すぐに再編成されてイギリスやアメリカのように二大政党になって、いずれ交代に政権を執るようになるでしょう。世界から見れば、A党でもB党でも同じで、配役が変わっただけのことなのです。方針や施策も根本的には変わらない。一般国民は政界という舞台での演技を見ている傍観者にすぎず、役者に指示している監督は分からない。ただ監督は、選挙でどんな事態になっても舞台ができるように、与野党問わずたくさんの役者を抱えておきたいと思っているのだ。
 その一人に抜擢されたのが、鳩山なのだ。武村は全くリストには上がらなかっただけのことだ。しかしながら「友愛」ということばに一抹の何かを感ずるのは、考え過ぎでしょうか。(1996.9.13)